文字に着目するテーマで製作。バンドとブランドのロゴを使った2種。バンドは黒T、ファッションは白T。
ファッションブランドの文字のほとんどは既成フォントにアクセントをつけたものが多い印象。一方、バンドの文字は書体を引用しておらず独自性のものが多く、強い。戦争や宗教、色々と考えて込んだ。音楽とファッションの視覚的な扉を開けてほんの少しだけ中を覗けたような。中には入れなかったけど。ぼくはいつも大喜利をやっているんじゃなくて社会と向き合っているつもりでつくっている。出てくるデザインで勝負したいわけではない。
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黒Tシャツ、厚く(濃く)プリントしたらコントラストが強くなりすぎたのでまたしばらく悩む。重ね刷りせずに薄くプリントしてみた。コントラストは弱くなった。いい感じ。インディペンデントらしい。少しだけ薄くプリントしようと決めた。仕上がりに個体差が生まれる。手の痕、作業の跡、機械やインクの匂い、風雨に晒され汚れたり、油がついたりささくれたりする農産物的な収穫の喜びがあった。
先日、隈研吾さんとお仕事をしている建築の方がアトリエに来た。その時に話した自分の昔の記憶で、代々木体育館のかたちの話をした。当時少年だった隈研吾は上にそり上がる代々木体育館のかたちに感動して建築家を目指したのちに国立競技場の設計をする。高度経済成長でどんどん上にいこうというコンセプトでつくられた代々木体育館と正反対のコンセプトで国立競技場を作った。今の日本は疲れているからなるべく平べったくつくったんだそう。うる覚えだけど。心のどこかで、薄く平べったくプリントすることに引っかかって繋がったような感じがした。
タグは三角形。フェルト素材は端の処理が不要なので形を自由に決められる。プリントしてミシンでガタゴト縫った。タグに記載されたサイズ表記を黒と白で変えてみた。黒Tは【 S / M / L / XL 】、白Tは【 1 / 2 / 3 / 4 】。デザインによってボディーも変えた。首リブのステッチの仕様がすこし異なる。
写真は私物をいつも撮ってくれている坂本理さん。モデルは中川昌利バンドでギターを弾いている石井さやかさんにお願いした。いつもながらスタイリングは一切せず、いつもモデルさんの私服に寄り添う形で撮って貰っている。〈Tシャツが見えなくてもいい〉というのはぼくの基本姿勢であり、戦闘体勢でもある。ファッションのカタログやルックを見て欲しいと思ったことが一度もない経験からいつもそうしている。意図せずみた写真の中からそれを見つけた方が自分だけのものって感じがしていて、そういった見つけ出す体験をぼくもしてきたし、そこに私物のTシャツも存在していてほしい。
2024年4月14日。東京は夏日。球体を眺めながらスティービーワンダーの「迷信」を聴く。
この時期、八重桜を見かけるようになった。なんで咲く時期が違うんやろ
これは調べたくないことですな
B®️AND T